KYOSAN CIRCULAR Vol.62 2011

 2011年の表紙デザイン 
インフラと風景の調和

カタカタン、カタカタン…列車のリズムは心地よいBGM。朝日を浴びた窓の外の風景は、ハッピーエンドを予感させる映画のようです。いつの時代も“鉄路の旅”には、身をゆだねられる安心と、心をときめかせる浪漫が漂っています。*		お昼頃の車内は、朝夕のラッシュ時と雰囲気がちょっとちがいます。女性たちの服装、乗り降りする足どり、会話する声まで、どことなくくつろいだ感じです。時間がゆっくり流れる街の中を、路面電車は人々の明るい顔を乗せて走ります。* Jelacic-Platz, Zagreb Wikipedia
手軽な足として、みんなに愛されている列車があります。孫の顔を見に娘のところへ行く老夫婦や、ピアノのレッスンに通う母と娘、友だち同士で街まで買い物に出かける少年たちなど。いろんな人が乗り合わせて、各駅停車は走っていきます。* Wiedeweg, Soest Wikipedia 123RF, Next Crossing		目の前を走り去るクルマの中で、くつろいだ服装の中年カップルが、楽しそうに声を合わせて歌っています。リラックスして気持ちよく運転できる道路と、そこに太陽の明るい光があれば、幸福はますます身近なものになるような気がします。* Diagonal, Barcelona Planeta Panorama Stock
街の中をのんびり走る市電は、散歩でもしているみたいです。すぐ横をクルマや自転車が追い抜いていっても、気にする乗客はいません。こうして市民や観光客に親しまれている電車には、明るいおしゃべりと、気さくな笑顔が、よく似合います。* Vigado ter, Budapest Wikipedia		道路もない大自然のなか、唯一の大量輸送機関として、みんなに頼られている鉄道があります。毎日の生活に欠かせない物資、大切な人に宛てた郵便物、そして素晴らしい景観に胸をときめかせる観光客などを乗せて、列車は荒野を走り続けています。* Alaska Railroad Photos.com