Vol.71 2020 No.1


「晴れ渡る希望」 只見線 只見-大白川(福島県只見町)田の口踏切付近から寝観音(猿倉山~横山)
すべての駅が誰かの最寄り駅、ふるさとの駅。そんな駅と駅とをつなぐひとすじの線路は、今という日常を始発駅にして、時に人を懐かしい想い出の旅へといざないます。そして、その輝きは、曇りなき空へと向かって、希望に満ちた明日へと、私たちを導き続けます。
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Vol.70 2019 No.6


「柿の実灯る」 いすみ鉄道 上総中川-国吉(千葉県いすみ市行川)大野入口交差点付近
晩秋の夕暮れ、いすみ鉄道の線路沿いで背の高い柿の木に出会いました。夕やけ空をとじこめたかのような色の、たくさんの柿の実が鮮やかに灯っています。夕空のグラデーションをバックに、前照灯を光らせた一両編成の気動車が、晩秋の主役たちにスポットライトを当てながら通り過ぎてゆきました。
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Vol.70 2019 No.5


「時の灯りをつないで」 鹿児島市電 いづろ通(鹿児島県鹿児島市金生町)
空に残る明るさが街の灯かりに主役を譲る頃、鹿児島市電の電車通りに面した百貨店もライトアップされ、ルネッサンス調の装いを浮かびあがらせます。一番星に先んじて灯った、架線を支えるセンターポールの街灯は、行き交う新旧の電車の道標となり、今宵もまた、この街の日常が紡がれてゆきます。
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Vol.70 2019 No.4


「夏のひかりを浴びながら」 高松琴平電気鉄道志度線 原-房前(香川県高松市牟礼町原)
「ことでん」の愛称で親しまれている高松琴平電気鉄道。琴平線、長尾線、志度線の3路線があり、志度線には海沿いを走る区間があります。房前駅と原駅の間の、海藻が打ち寄せられた素朴な海岸に降りてみますと、やがて、ことでんの電車が夏の陽ざしを反射させながら、颯爽と弧を描いてゆきました。
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Vol.70 2019 No.3


「緑が沁みる小さな駅で」 大井川鐵道線 抜里(静岡県島田市川根町抜里)
初夏の大井川鐵道。車窓に目をやれば、さざ波のようにきらめく茶畑のみずみずしい緑が、やさしく目に沁みこんできます。「ぬくり」という、茶畑の造形を彷彿させる、どこか丸みを帯びた名前の駅で途中下車。すると、その響き以上に温もりに満ちた駅舎と、可愛らしい花壇が出迎えてくれました。
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Vol.70 2019 No.2


「花灯るころ」 三陸鉄道南リアス線 吉浜-唐丹(岩手県大船渡市三陸町吉浜)
春の三陸鉄道南リアス線吉浜駅。ホーム端には満開の桜が灯り、枝先から放たれた薄紅色の花びらが、陽光をはらんだそよ風と混ざり合い、出発を待つ列車に降り注いでいました。今年の春は、盛-久慈駅間が一本の三陸鉄道リアス線として結ばれる特別な季節。三陸の地に、新たな風と景色が生まれます。
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Vol.70 2019 No.1


「冬晴れの温もりに」 津軽鉄道 芦野公園-川倉(青森県五所川原市金木町川倉)
風が強い日には地吹雪が吹き荒れる津軽の冬。一方で、光降るおだやかな日には、目映い銀世界が広がります。冬晴れの空を背に岩木山は優雅に裾野を広げ、ストーブ列車の客車を連結した津軽鉄道の列車が草原を駆け抜けます。まだ遠い春までの道のりを、今日もまた、ストーブ列車の温もりが繋ぎます。
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